青春メトロノーム



身体が丈夫じゃないのに戻って来てくれた暁。
心配ばかりかけて、――入院まで追い込んだのは私の弱い心のせいだ。


「そんなに不安なら、おまえの理想の颯太をまた映しだせばいい」
「いいの?」

「誰にも気づかせないようにこっそりと思うのは自由だ。ただ……暁のためにいつか消してやってくれ」

「消した時には私は変わっているかな?」

「まあ、変わるしかねえよ」

いい加減、さみいし帰るぞ。

頭をガシガシと掻き回すとお兄ちゃんは車に乗り込んだ。
私も、もやもやした気持ちのまま車に乗り込む。

落ちてきそうな大きな月が、私の吸い込まれた思い出を海の中から照らす。

大丈夫。――大丈夫。


私にはまだ、颯太が必要だ。