「颯太! 颯太っ そうたぁぁあああっ」


何か一欠けらでもいい。今、ここに颯太が居ると確信できる何かが欲しい。
颯太が好き。颯太が好き。

繋いだ手を、絶対に離さなければよかった。

居なくなったのが私だったら良かった。

どこでもいい。どこでもいいの。
微かな匂い、音、仕草、ものでもいい。
颯太が居る実感が欲しい。

この世に颯太がもう居ないなんていう現実は私にはもういらない。

私の時間はバラバラでいい。一定じゃなくていい。
だから私から颯太を奪わないで。颯太は居るの。
いなくちゃいけないの。

また三人で居ようねッて約束したから。

座りこんで泣き叫ぶ私の腕に、暁が掴んだ指の形が赤く残っていた。


もう沢山だ。

颯太には暁が帰ってからだと告げなかったのに。

今、暁に告げれる思いなんて何もないんだから。