朝、6時。
吐く息が白く凍りつく寒い朝。
颯太が眠たそうなのを引きずりながらバス停で向かう。
「もう。お母さん達の前では見栄を張るんだからさ」
「うっせ。俺の繊細な性格を知ってるだろ。緊張して眠れなかったんだ」
「お昼寝しすぎて眠れなかったんじゃない。うちのソファでずっと眠ってたくせに」
「あれは目を閉じて瞑想してただけだ」
小学生の癖に、瞑想とか難しい言葉使いやがって。
昨日の夜からわくわくして準備して、目ざまし時計より早く起きた私の気持ちなんて全然分かっていないんだから。
遠くから豆粒ぐらい小さくバスが見えた。
「ほら、バスが見えたよ」
「なあ、百花」
「うん」
「俺が一回でもゴール決めたら、中学行ってから付き合ってよ」
「……は? え?」



