お母さんも申し訳なさそうだった。
多分、お母さんの方は暁の手術の方へ顔を出すんじゃないかなと今に思えば分かった。
「お父さんも会社遅れて良いか聞いてみようか」
「あのさあ、ただ隣の市の陸上競技場だぜ? バスで30分もねえのに大げさだろ。始発のバスなら余裕で向こうに着くし」
「そうそう。バカな颯太は私が面倒みてあげる。私も一緒に行くよ」
始発は朝の6時15分だった。
七時半に競技場集合だったので時間に余裕もあったので、私たちは浮かれていたと思う。
「じゃあ任せて大丈夫かな。おじさんも、百花ちゃんのおばさんも開会式の9時には間に合うように行くから」
「はいはい。大げさだね」
「颯太くんの最後の試合だもの。全然大袈裟じゃないわよ。お弁当、山盛りで作るからね」
「すみません。妻が不在なので助かります」
もうおじさんも颯太も、家族の様なものだと思っていたんだ。あの頃は。



