世界は愛で満ちている


「待って!」

画面の電源がぷつりと切れた。


何?何なの?

なんで?

なんでわたしたちがこんな目に合わないといけないの?





あ、罰なのかな。

湊を残してあの地獄からさっさと抜け出そうとした罰。

ごめん、湊。

でも、湊も、なんだよね。
私知ってるの。





ー毎晩湊がリストカットしてるの。

…袖の長いカーディガンを一年中着てるのは、そのせいでしょ?

脱げって言われて校内鬼ごっこになった時もあったね…


懐かしくて涙と笑顔がこぼれ落ちた。



「ほんと、懐かしいね…」



なんで私はあの日常を壊してしまったんだろうか。
湊がいれば良かったのに。

「は、は」

乾いた笑いが漏れた。そのとき。

「…蒼波はっ!蒼波は…だからっ!」

ギィッ…と扉が軋んだ。