てっきり、少しすりむいて血が出ているだけかと思っていたのに。
「河原、待て。俺がやる。」
突然声がしたかと思えば、手を引かれベッドに座らされた。
「え、宮沢君...。」
朝陽は、てきぱきと消毒液とテッシュ、ガーゼを持ってくると、麻尋の目の前に膝立ちした。
真剣な顔で傷口を見ると、言う。
「お前、いっかい洗ってこい。そうしないと、菌がはいる。」
そう言って、麻尋の手を引いて立たせると先生の机の横にある水道で水を流した。
「痛った...!」
水が傷口にあたり、激痛が走った。
思わず顔をしかめると、朝陽は笑う。