「麻尋ちゃーん、ちょっとここ押しといてくれる?このテープ、取れないの。」
鈴菜は、イスに巻き付けられたすずらんテープを指差しながら言った。
体育祭の応援合戦のときに使うポンポン作り。なんでも、ひとり1つずつ作るらしく。
麻尋たちのクラスの青色のすずらんテープをイスに巻きつけて結んだら、イスから取るために、脚を引っ張っていなければいけないのだが、これがけっこう力業なのだ。
「いいけどさ...、あたしそんな握力ないから無理かもよ。」
そう言いながらやってみるが、テープはなかなか取れない。
「あーあー、私疲れたぁ~。」
「ちょっと、これ鈴菜の作るやつでしょ。ちゃんと最後までやんなきゃ...。」
だらーんと自分の机の上に腰をかける鈴菜。