暗い部屋のなかに灯る豆電球はまぶしい。
あのころの、記憶...。
麻尋は、ゆっくりと起き上がる。そして、机の引き出しから古びたビデオテープをだした。大切そうにデッキにいれると、その映像はすぐに流れた。
なつかしい部屋に、なつかしい人...。
小さい頃の麻尋だ。髪をピンクのゴムで結んでいて、くりっとした目。流れたのは、3才の誕生日祝いのときのビデオだった。
たわいない家族との会話。あふれる笑顔。そこに映るのは、なんともない日常なわけで。
.....でも、今となってはうらやましい。
......この頃の自分がうらやましい。