「いった... 。」
突き飛ばされた麻尋は、肩を強く打った。
「麻尋っ!」
「麻尋お姉ちゃん!」
でも、怖くなんてない。非常識なんだ、この人は。ろくに施設の子どもたちのことを考えない、悪いひと。...そんなひとに、あたしたちか負けちゃいけない。
麻尋はお金をポケットに入れると、さっさとリビングを出た。
麻尋をおいかけるように咲良と美波も出る。
「麻尋... 。」
玄関へ行き、靴を履く。
「ふたりとも、あたし買い物行ってくるね。とりあえず、お米と明日の朝食くらい。」
「えっ、なんで... 。お姉ちゃん。朝ご飯くらい... 。」
「ううん。最近ご飯少ない上に栄養もとれてないんだし。1食でもぬいちゃったら大変だよ。...じゃあ、行ってきます。」
心配するふたりをよそに、家を出ていった。
肌に通る冷たい風。キラキラと輝く星空は、突然の雨雲にのみ込まれようとしていた。