麻尋は怪訝そうに、瀬上を頭上から足元まで見下ろす。
「瀬上先生は...新しく千石中に来た先生ですか?」
薬を飲み終わった鈴菜は、小さい声でおそるおそるといったように話す。
「あ、うん。そうだよ。だから、いろいろとわからないところとか教えてもらうこともあると思うけど、よろしくね。」
鈴菜と麻尋の目線に合わせて言った。
でも、麻尋は目線をずらす。
この先生がどんな先生かわからない今、簡単に信用できない。
そんな麻尋とは裏腹にどんどん話しかけている鈴菜。
「これからよろしくお願いします!」
「こちらこそね。」
鈴菜が笑顔であいさつをするのにやさしく返す瀬上。
鈴菜のことを見ていると、一瞬だけ瀬上と目が合った。...けど、反射的に目をそらす。
「......っていうか、陽人。あんたこの学校のこと知らないはずないでしょ。」
ため息をつきながら腰に手をあてる牧野。
「まあ、そりゃそうだけど。教師になってからきたのは初めてだろ?」
苦笑しながら言う瀬上。
麻尋と鈴菜は、ふたりの話についていけずポカンとするいっぽうだった。