ガチャ


保健室のドアが開いて、背の高い男の先生が入ってきた。黒いスーツをしっかり着こなしていて、少し多目の黒髪に整ったくちびる。20代後半くらいか。......そして、顔立ちがものすごく良い。


「失礼しますー。瀬上です。」


牧野先生は、瀬上に近づくと、麻尋たちの方を指した。


「あら。早かったのね。はい、この子達よ。右の子が加藤 鈴菜さん。左の子が河原 麻尋さん。」


瀬上は、ふたりに向き直ると、にこっと微笑んだ。


「はじめまして。3年2組の担任になった瀬上陽人です。よろしくお願いします。」


軽く会釈をすると、また微笑んだ。


反射的に麻尋も会釈する。


こんどはどんな先生か...。第一印象は悪くない。でも、馴れてきてから、これからどうなるのかわからない。


もしかしたら、この笑顔にとんでもない裏が隠されているのかもしれない。