「ねぇ、ちょっとこっち来て。」
振り向くと、手招きされた。
不思議に思って行くと、瀬上はカーペットに座り、麻尋もその目の前に座った。
「あのさ。俺は... 麻尋の担任じゃん?」
「... はい。」
「うん。だから、今から学校と家とでわけて?
俺は学校では先生、 家では俺は保護者ね。
だから、態度とか敬語とか。家では普通で良いからね。
敬語はいらないし、普通にいろんなこと話してくれていいから。」
瀬上の真剣な目。
... え。普通にって... 。
「でも... 」
すると、瀬上は右手を差し出した。
「別に、馴れろってわけじゃないよ。ただ、我慢とか遠慮とかはいらないって言ってるだけ。
それだけは守ってよ?
麻尋が素をだしてってこと。」
「... はい。」
「だから、敬語もしなくていの!徐々にでもいいからな。」
麻尋は、うなずいた。
ずっとこの家に住むのか、わからない。いつまでここにいるんだろう。
この瀬上先生と...
「ただいまぁ~!」
「遅いっ。また無理して遅くまで仕事?そろそろいい加減にしなよ?」
「えぇ~べつに。あっ、麻尋ちゃん!ただいまー!」
この牧野先生と。
いつまで一緒にいるんだろう。
「ほら、春花も。」
そう二人とも右手を差し出した。
麻尋の目の前に。
麻尋も小さく手を握る。
「これからよろしくね、麻尋。」
強く握りしめられた。

