桜の花びらがひらひらと舞う。


体にあたる風は、心地いい。


ちょうどこの日は、はるにぃが転校して初日だった。


髪を下のほうにピンクのゴムで二つに結んである女の子、麻尋は、学校と並んでいるゆるい坂道を登る。


小さな手には、淡いピンク色の桜の花がある。


スカートをなびかせながら、ふわっとした笑顔で歩く。


その左側には、正門に『千石中学校』と書かれていた。