「ごめんっ!ほんとに... 。あたし、今日体育祭の練習で倒れちゃって、そのときに... 」
「.........バレちゃったんだ。」
震える声で言う咲良。
麻尋は、静かにこくっとうなずいた。
リビングに、幼い優衣と拓実の遊び声だけがひびく。
咲良はすっかり料理の手を止めちゃって、お鍋の中のシチューはグツグツと音がする。
「...どうするか?」
しばらくの沈黙を破り、涼太は言った。
「...涼太。」
「だって、バレちゃったんだろ?!じゃあ、なんとか... 施設長から逃れる方法を考えなきゃ!」
半分怒り、半分恐怖であふれた声は、麻尋たちの心拍をあげる。
でも、麻尋は顔をひきつらせながら、ほほえんだ。
「大丈夫。みんなには被害をくわえさせないと想うから。」

