真守の姿を見て花火は驚きそのまま固まってしまった…



「…あ、ごめん
いたんだね
声が聞こえないからいないのかと思ったけど…」



そう言われて花火は真守に



「え、ええ…
毎日来てるわ
それより野村真守が何の用?」



そう聞くと真守は頭をかきながら



「えーと…
なんてゆーか、アハ、ハ…」



そう言い花火を見て笑顔は段々引きつっていった



「まぁ、いいわ
入るんだったら入れば」



そう言い花火は涙を拭いた

真守は遠慮し気味に隣に座った



「俺、2ヶ月前から気になってて…
橋川緑さんの病室には何度も来たけど、人の声がする時は入らないようにしてたんだ

親父の罪だから…」



そう言うと花火はキョトンとしながら



「カンケーないよ
だって、お父さんと野村くんは家族だけど、違う人間。
あなたが緑をこんなふうにした訳じゃない…
ただ単に、野村勤の所に偶然産まれただけ…

カンケーないんだよ
血が繋がってようと、繋がってないと…
真守は真守で、父親は父親。
これが事実なんだから…」



そう言うと真守は微笑みながら花火に頭を大きく下げた



「かんけーあろうとなかろうと、俺の父親だ…
あの人に育てられた人間だ

俺は恥ずかしい…
あの人を昔は尊敬していた
でも…
いや、だからこそ
謝りたい…
大切な人を奪ってしまってすまなかった……」



その言葉を聞いて、花火は何を思ったか、真守を見て満面の笑みを浮かべて………



涙を流した………



「ありがとう……
緑のために…
だから、もう泣かないでね…

野村くんは父親とはきっと違うから…
誰がなんと言おうと、君は立派な人間になると思うよ」



そう言いその場を後にした



その時、2人は気づかなかったが
緑の目から涙が1粒…
流れていた………