「私は田舎の方で生まれて育った
母親と父親のいる普通の三人家族の家だった
けれど、幼稚園の時、父親が私と母親、借金を残して姿を消したの…
幸い、母が昔から貯金が好きな人だったからそのお金で借金の半分以上は返せたの
けど、まだいくらか残っていて
母は働きに出たの
何をしていたのかは幼い私は知らなかった
けれど、沢山の事をしてお金を返したのは
私の小3の時…
これから2人だけで静かに暮らそうとしていたの…
けれど、それは突然やってきた……
母は倒れた…
医者はひどい疲労だと言ったわ
その後間もなく、母はこの世を去った…
母も父も家族から絶縁していたから
私は独りだった
施設に入れられる寸前に
橋川と言う幼なじみの家の子が
私に言ったの…
"俺ん家に来いよ
俺が花火を守るから
だからずっと傍に居ていいよ
施設が嫌なら家に来いよ"
って、その子は小6なのに
まるで私より小さい子のように無邪気に笑って手を差し伸べてくれたの…
母がいなくなって、生きる意味が分からなくなった私に
生きる意味をくれた人…
緑は私の恩人だった…
いろいろあったけど、緑とはずっと仲良くしていたの
私が中学に入った冬に付き合い初めて
中3の時まで続いていたの…
あの日、どうして喧嘩なんかしたのか分からない
どうでもいいことで喧嘩して、友達の家に泊まったの
緑はその事を知っていて、
家で私の帰りを待った…
次の日、私が帰ると…
その家は黒焦げだったの……
両親は即死だと聞いて
急いで緑の居場所を探したら
病院に居て、
目を覚まさなかった
犯人は野村勤だと知って
野村勤について出来るだけ多くの事を調べたの
2年間…ずっと……
1度祖父母が私を訪ねに来た時はそれどころじゃなくて、
けど、調べ終わった時には緑は病院を移されていて
緑の病院の近くには祖父母の家と野村勤の息子が通う学校があると知ったの
それで、ここに来た…
息子と妻は関係ないのは知っていたのに、
憎くて憎くて仕方なかったの
でも私、人を殺すのを躊躇っているの…
怖いの
誰かがいなくなって、誰かが悲しむのがやだった…
私は何を信じればいいのか分からない……」

