バスッ、バシッ、ダンッ。
〇〇くん、頑張って〜。
六時間目、ボールの音や歓声、応援の声が響く体育館で、里桜はぼんやりそれを見ながら全く別のことを考えていた。
(今日の夕飯何にしようかな…)
家族全員が父親の転勤に付き合ってしまった為、今里桜は一人暮らしをしているのだ。
勿論食事も自分で作らなければならない。
(昨日は煮魚だったから、今日はハンバーグにしようかな…)
やっと献立が決まりホッとした途端、女子たちの悲鳴が聞こえてきた。
「委員長、危ないっ!」
委員長というのは里桜のことだ。クラス委員をしている為、周りからそう呼ばれるようになったのだ。
(え、危ないって何?)
不思議に思って顔を上げた里桜は目を丸くした。