雪「もー!!早くしてよ!! 今日から新学期なのに、初日から遅刻しちゃうじゃない!!」


幼馴染の家の玄関で地団駄を踏みながら叫んでるのは、小川雪(おがわ ゆき)。

今日から、青咲高校の2年生になる活発で元気な女の子だ。


賢治「ふぁ〜あ、もうちょいだから、あと5分で終わるから…」


大きなあくびをしながら頭をぽりぽり掻いて
出てきたのは、雪の幼馴染の小林賢治(こばやし けんじ)だ。

雪と同じく、今日から青咲高校の2年生になるすこしおっとりしてる男の子だ。


雪「もう!5分だけだからね!それ以上待つと置いてくから!!」


雪は目を吊り上げながら怒鳴り散らした。

その姿を見て、賢治は背筋を震わせながら
そそくさと支度を始めた。


賢治「お待たせ!雪が大きな声出してくれたから目覚めたよ」


賢治がにっこり笑って雪に言った。


雪「んー?それって私の声のボリュームを馬鹿にしてるのかなー?」


雪は腰に両手を置き、前かがみになって睨みつけながら賢治に聞いた。


賢治「うそうそ! こんな時間まで待ってくれてほんとーっに感謝しております」


深々と頭を下げる賢治に満足したのか、雪は
たっくもう…と呟いて賢治の手を引っ張った。


雪「謝罪は後!早く学校に行かないと遅刻しちゃう!」


賢治は引っ張られながら、腕時計を見た瞬間顔が真っ青になった。


賢治「やばい!あと10分しかない!」


雪「うっそー!!! もう走るしかない!!」


そう叫びながら、賢治の手を引っ張り学校へと走って行く。

雪にとっては、何気ない日常でとても幸せだった。

賢治の手を引っ張りながら雪は少しだけ微笑んだのだった。