このまま何言うか黙って見てようかなって思ったけど、我慢できなくて笑っちゃった。シゲも嫌そうな顔のままで少し笑う。
「嘘なんかつかないで、言ってくれたらよかったのに」
「言ってたらどうしたんだよ」
「他に好きな人いるのに困るーとか言って、愛華に相談したりして楽しみたかった」
「最悪だよな、自意識過剰な女子」
「ほんと最悪だよね、かっこつけた男子」
言い合って、同時に笑い声が出た。
うん、最悪だ、中学生の私たち。
自意識過剰で、かっこつけてて、臆病で、嘘つき。
今もそんなに変わらないけど、でも、少しは大人になってきたかな。
同じだったんだよね?
ずっと一緒にいて、いつも楽しくて。あの頃の私も、誰が誰を好きとか付き合うとかそういうの、どうでもよかった。春ちゃんがいて、シゲと一緒に遊んでるだけでよかった。
でも今は、それじゃもう満足できなくて。それも、一緒なんだよね?
そういうこと全部言いたかったけど言葉にはならなくて、シゲを見る。シゲは目をそらさずに、柔らかく笑ってくれた。


