真央さんは後でひたすら謝ってくれて、かえって困ってしまった。
「ごめんね、ほんとに。古瀬さんにも言ったんだけどね、思ってるような派手な子じゃないですよって」
「いいです、もう。別れてるし、とっくに」
「ねえ、嫌わないでね、私のこと。さん付けとか敬語とかじゃなくて、真央って呼んで」
「呼び捨て? それはちょっと」
「お願い! 私も結衣って呼ぶから、友達になって! シゲにも嫌われちゃうー」
なんだかすごい勢いでやっぱりついていけないけど、一応オーケーしたらあからさまにほっとしてくれた。わかりやすい。
「でもシゲが慌てて追いかけてったよね」
とにこにこしながら肘で脇腹を突いてくる。
「いたっ」と思わずまた呻いた。なんなの今日、ピンポイントであざに触られすぎ。
「ごめんね。なに、ここケガ?」
なんのためらいもなくカットソーの裾をめくられる。
「え、ちょっとこれ青くなってるよ」
「うわ、触らないでください! 大丈夫だから」
「ダメだよ、病院行った?」
ギャアギャア言ってるところにシゲが入ってきて、私たちを呆れたように見た。
「なにやってんの、真央。セクハラ?」
「だって青あざできてるの、ここ見て」
「どこ?」
とシゲが近づいてきて、めくれた脇腹付近を眺める。


