お昼の準備を始めながら、綾さんとも噂話をする。彼女は一年留学してて、大学に秋から復帰するらしい。
隣のマンションの1階にある会計事務所のお嬢さんで、マンション自体がお隣さんの持ち物だというからお金持ちなんだと思う。確かにそんな感じの天真爛漫な雰囲気の人だったな。
盛り付けのためダイニングテーブルにお皿を並べているところに、シゲが彼女を連れて入ってきた。
「こんにちは、真央ちゃんだよね? 綾です、よろしくね」
綾さんがいつも通り明るく挨拶する。
「旦那さんにはこないだあいさつしました!できる男の嫁、うらやましいです!」
「えーまだ結婚してないよ!嫁じゃないから!」
初対面とは思えない勢いでいきなり盛り上がってる。大丈夫かな、私。ついて行けるだろうかこの感じ。
「うるさいから表には出ないように言ってあるんで」
「もう、犬かなんかみたいに言わないでよ」
と気の置けない感じでシゲとも会話をしてから、真央さんが私を見た。
私もあいさつしなくてはと口を開きかけたところで、思ってもみないことを言われる。
「結衣ちゃんもよろしくね……あれ? え? 古瀬くんの? 」
私とシゲを交互に見てとまどってる様子だ。
「知り合い?」
シゲも驚いて言うけど、私は知らない。純の知り合い? でも一つ上だよね、高校の先輩?


