ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


向かいのPCにいる柴崎さんがまだ唖然とした様子のまま、私の近くに立っている平井さんに声を掛けた。


「なんかすごいね、今の」

「隣に幼馴染の女の子がいるって言ってたよ。留学してて帰ってくるとか」


あ、シゲの好きな子。かわいかった、確かに。明るい声に似あう華やかな雰囲気で、小顔でスタイルも良くて。


「百年ぶり?」


思わず呟くと「実際四、五年なんじゃないかな。結衣ちゃんと一緒だよ」と平井さんは私の肩を叩いた。


あ、もしかしてこれは慰めてくれてる構図。痛いなぁ、それ。




シゲはしばらくして戻って柴崎さんに謝ったあと、そのまま隣の家に行ってしまった。あの真央さんに何か頼まれたらしい。


集中力がなくてやけに時間がかかってしまった書類のチェックを終えて私が帰るまで、シゲはずっと戻ってこなかった。


話したいなんて、やっぱりやめた方がいいってことだよね。何考えてたんだろう、私。