ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


自転車に乗る前に、つい声をかける。


「シゲ」

「なに?」と無表情だけど普通に振り返る。

「あのね、後でちょっと話したいことがあるんだけど」

「いいよ。仕事終わってからでいい? 二階で聞く」


なんとなく不機嫌なままな気がするけど、受け入れてはくれた。


「ありがと」


そのまま自転車を走らせてシゲの背中を見ながら、どうしようかと思う。


ただシゲと話したくて言っちゃったみたいなもので、何を言うかちゃんと考えてるわけじゃない。


純の話をしないで、付き合ってたわけじゃないってことだけ言うことできないかな。でもそうしたら、なんで?ってなるよね。


何年もずっとふりをしてた理由なんて思いつかない。なにか理由をひねり出したら、また嘘を重ねることになるし。


ほんと、バカな高一の私に教えてやりたい。嘘つき続けて、いつか痛い目見るよって。さっさと終わらせなよって。