ホワイト・ライ―本当のこと、言っていい?


「また当たった?」 とからかうように私の手にあるアイス棒を覗き込まれて、「そんなに当たるわけないでしょ」と睨みながら、顔が近いよっとこっそり慌てる。



期待するな、期待するな、と自分に言い聞かせる。


元の関係に戻っただけだ。あの頃と同じで、きっと恋愛感情じゃない。


でも、なんだかすごく優しい気がするのは気のせいじゃなかったりしないかな。






「ねえ、シゲはあの鳥がまた飛んでるのっておかしいと思わなかった?」


壁に寄りかかっているシゲに聞いてみると、無言でじっと見返された。


だって、白い鳥は私だって言ったでしょ。シゲはどういうつもりで言ったのかなって気になるのに。そこを突っ込むと変な話になりそうで持ち出せない。


「純も逃げられそうとは言ってたけど」


沈黙に耐えられずにぽろっとつぶやくと「人の意見より、結衣がどうしたいかだろ」と突き放すようにまっすぐに言われた。


「お前さ、なんであいつの顔色うかがってんの」


あいつって純? 純の顔色なんかうかがってない。でもまた変なぼろが出そうだし、シゲとそんな話したくないし、黙っていた。なんで純の名前なんかだしちゃったんだろう、バカ。


怒ったのかなんなのか、なんとなく怖くて聞けなかった。居心地悪い。