帰りは途中でコンビニに寄った。シゲといえばコンビニアイスって感じがする。一年中食べてたけど、やっぱり夏。日差しを避けて、側面の壁に張り付いて話す。
「久しぶりだね、こういうの」
何言ってんだ?という怪訝な顔と目が合う。水族館に行くときにも食べたけど、あれとは違うでしょう。
「二人で帰りに食べるのって意味だよ」
言ったら「そうだな」と納得したように言って、私を見下ろしたまま柔らかく微笑む。少し見とれてしまってから、アイスを食べる振りで目を逸らした。
電話で優しい時って、きっとこんな顔してるんだ。今日は電話じゃないのに、なんの相談もしてないのに、どうしたの。
「あれユリカモメだって言ったっけ? カラスみたいだったのを尚人に直してもらったんだけど」
「聞いてないけど。そうかなって勝手に思ってた」
「久しぶりに行ってみるか、上野」
「うん。何かアイデア浮かぶかな」
できるだけ普通に答えた。
シゲに動物園に誘われただけなのに、そんなの中学の時もしょっちゅうだったのに、うるさいぐらい鼓動が速くなってた。


