「笠原くん……」
最悪のタイミングだと、心から思う。
私の心情的には、このコンビニが今すぐ爆発テロにでもあえばいいのに、というくらいのショックだった。
一方、目の前の彼は表情一つさえも揺るがない程の真顔だった。
またその真顔というのも、一見地味な顔をしているからなのか、本気で怖い。
私は口を半開きにしたまま、しばらく目の前の笠原くんと見つめ合った。
たぶん、男子とこんなにも見つめ合ったのは私が17年間生きてきた中で最長だったんじゃないかと思う。胸のトキメキは1ミクロンもなかったけれど。
これがもし、放課後の教室とかそれらしい場所だったなら少しは違っていたのかもしれない。
けれどここは深夜のコンビニ。ついでに言っておくと、さっきから店員さんの視線が痛いほどに突き刺さっていたたまれない。
服装もジャージで髪も適当にまとめただけでぼさぼさだし、さっきまでうたた寝していたからきっと顔だって酷いもんだ。
本当に、何でこのタイミングなのよ……。

