笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



――何かを、もろくて小さな感情を、感じる。


こんな経験はしたことがなかった。


今私に連絡してきた相手が、家族以外だとしたら。


ほかの誰かだとしたら。


そんな風に考える状況に、立ったことすらなかったけど。


それはきっと。


――奏。


気が付けば私はスマートフォンに吸い寄せられるように近寄っていて、瞳は勝手に画面を見つめた。


【 城咲 奏 】