笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



「依美、具合悪いのか」


父親が私の顔を軽く覗き込んでくる。


「みぃ?」


父親に続いて、りぃも同じ動作を繰り返す。


――自分でも、その理由が分からなかった。


「ほんとに…お腹いっぱいなだけ、ごちそうさま」


何故か父親の顔も、母親の顔も、りぃの顔も見れなくて。


私は静かに立ち上がると、自分の部屋へ足を進めた。


心配そうに見つめている3人の視線に気がついたけど、私には振り返ることができなかった。