笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



そして。


もう一度そのドアに手を掛けようとしたことに、自分でも驚いた。


「みぃ!」


聴き慣れたその声に、私の手は止まる。


視線を、動かした。


そして長い廊下の先から小走りで駆け寄ってくるのは、他の誰でもない、りぃだった。


「りぃ…」


これが夢なのか現実なのか、やっぱりまだハッキリと理解できていない私は、ただ小さな声で名前を呼ぶ。


制服のスカートを揺らして、駆け寄ってくる彼女の姿に。


「ちょ、みぃ!」


私は体中の力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまった。