笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



そしてこの部屋の向こうで、私を待っている誰かがいる。


「私、そろそろ行かなきゃ」


そう言って立ち上がると、置きっぱなしにしていたプリントたちを手に取って、胸の前で抱いた。


「紅茶、飲めなくて…ごめん」


結局一口も飲めなかった紅茶の表面は、ゆらゆらと揺れている。


この空間に、溶けきれなかった私を、溶かそうとするように。


そして。


奏は、急に慌てる私を不思議そうに見つめていた。