それからどれだけの時間が過ぎたかは、数えていなかった。
ただ何かを話すわけでもなく、私はただぼーっとして、この空間になんとなく身を任せていた。
奏も、そんな私に何かを話しかけるわけでもなく、ほとんどの時間を無言で過ごしていただけ。
新たに分かったことも、知ったことも、ない。
不思議で仕方ない全てに興味を持ってはいたのは、確かだけど。
でも、心地悪くなんてなかった。
静かで大人しくて、優しくて、甘い場所だったから――
「あ、俺の連絡先教えておくな」
長い沈黙を破ったのは、奏だった。
そしてその言葉を言うと同時に、奏はポケットからスマートフォンを取り出す。

