笑顔を持たない少女と涙を持たない少年





それからどれだけの時間が過ぎたかは、数えていなかった。


ただ何かを話すわけでもなく、私はただぼーっとして、この空間になんとなく身を任せていた。


奏も、そんな私に何かを話しかけるわけでもなく、ほとんどの時間を無言で過ごしていただけ。


新たに分かったことも、知ったことも、ない。


不思議で仕方ない全てに興味を持ってはいたのは、確かだけど。


でも、心地悪くなんてなかった。


静かで大人しくて、優しくて、甘い場所だったから――


「あ、俺の連絡先教えておくな」


長い沈黙を破ったのは、奏だった。


そしてその言葉を言うと同時に、奏はポケットからスマートフォンを取り出す。