笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



だけどその後にこみ上げてきたのは、怒りでも、悲しさでも、嫌だと思う感情でもなくて。


あんなにこう呼ばれることを拒んできたのに。


どうして私は、怒りや悲しみとは反対の何かを感じたのだろう――?


「ってことで、改めてこれからよろしく、エミ」


半強制的に決められた呼ばれ方と、これからを約束するその挨拶。


夢なのか現実なのかさえ曖昧なこの空間で。


私は、差し出された手にそっと自分の手を重ねて。


優しく握られた手の感覚に。


体温が、上昇していくのを感じた。