「城咲 奏、17歳で高3。ここの生徒だけど、授業には出ずに毎日ここに来てる」
二度も名乗らせてしまったし、同い年だということがわかったから、私はこの少年のことを“奏”と呼ばせてもらおうと思った。
「よろしく」
ふわふわと舞い上がる湯気と、フルーツティーの甘い香りの中に混ざり合う、奏の笑顔。
この短い時間の中で、私が感じたことはただひとつ。
奏は――よく笑うということ。
そして、笑えない私を見て一度もそれを否定しないということ。
笑えないことに、違和感を覚えていないのだろうか?
それとも、気づいているけど知らないふりをしているのだろうか?

