奏の言葉は力強くて、抱きしめられたままの私は大きく頷く。
そして奏の背中に両手を回すと、優しく、抱きしめた。
「泣けないのは、マイナスな感情を表現できないのは別に困ることがないって思って、そう言い聞かせて生きてきたけど…それじゃ俺は強くなれなかった」
奏の髪の毛が、私の肩をくすぐる。
こうやって本音を伝えてくれること、奏なりの自分の言葉で伝えてくれることが嬉しくて、私は優しく微笑んだ。
「うん」
「嫌なこととか悲しいことがあったときは、こんな感情なら無くなってもいいって思ったりもするけど…もしその感情が本当に無かったら、そこから“今度はもっと良くしよう”とか、“これから生まれ変わろう”とかっていうプラスな感情さえも芽生えない――だから成長できない、強くなれないんだ」

