笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



自分と同じことを話す、奏の言葉。


「でもそのままじゃ、前に進めないんだって――自分の意思を持って立ち向かっていく依美の姿が、俺に教えてくれた」


自分の意思、立ち向かう姿――。


それは従来の私には考えられなかった言葉だった。


自分の意思もなければ、何かに立ち向かう勇気も、その理由もなかった。


それなのに、私のその姿が、奏の瞳に映っていて。


その姿が、何かを教えられただなんて。


あまりの感動に、言葉を失った。