「っ嫌です」 私は、絶対に動かなかった。 「奏くんのことをちゃんと見てお話をしてくれるまで…っ私はここを動きません!」 「何…」 何度だって、私が伝える。 気が付いてもらえるまで、何度だって伝える。 こんなに大切だと思う彼、こんなに私を変えてくれた彼のこと。 守るんだ、それはきっと――“本当の幸せ”を見つけるために。 「腹立つっ…」 その瞬間、私は伸びてきた手に胸ぐらを掴まれて―― 「母さん」 目を閉じた瞬間、奏の声がした。 あまりの、恐怖と、聞き慣れたその声に。