「依美、早く」 奏はその言葉を無視して私の腕を掴むと、そのまま私をソファから立ち上がらせる。 だけど。 私はここから引けなかった。 分からない、どうして引けないのかなんて。 だけど。 意地でもここから離れたくない、それだけは確かに感じていた。 「はじめまして依美といいます、奏くんのお友達です」 奏のことが大切で、奏のことが好きだという想いが、ただ私の背中を押している気がする。