笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



それは奏の先輩の名前で、奏が以前好きだった人。


私は奏を見たまま、パスタを噛み締めた。


「身につけないで袋に入れてたんだよ、だけど、これからは身につけようと思う」


奏は笑って、私の胸元のネックレスを見る。


そしてフォークを置いた奏はカバンからネックレスを取り出すと、その袋を開け、そこから顔を出したネックレスを首に回した。


私は誕生日のあの日から、ずっとこのネックレスを付け続けてきた。


未だに“本当の幸せ”は見つかっていないけど、もしかしたら。


気がつかないうちにもう見つけ始めているのかもしれない。


「そっか、でも急に、どうかしたの?」


私はまた、パスタをフォークに巻きつけながら言う。