笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



2人でこうやって、紅茶やお菓子以外の何かを食べるのなんて、3ヶ月一緒にいたのに、はじめてで。


きっととても、かけがえのない瞬間だ。


奏の伏し目がちな瞳に、胸の奥が音を立てる。


光を通すその髪の毛も、華奢な指先も、全部。


綺麗で、美しくて――


「あのさ依美」


パスタをフォークに巻きつけながら奏が言った言葉は、私を我に返させた。


私は少し慌てたようにして口の中でパスタを噛みながら、頷く。


「あのネックレス、実は、彩菜にもらったんだ」


あ。


その名前が出て、あのとき微かに感じた切ない感情を、思い出してしまった。


彩菜さん。