笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



フォークで少しだけパスタを取って、それをクルクルと巻きつけていく。


そしてフォークに絡みついたパスタを、一口、口の中へと運んだ。


「美味しい…!」


そのパスタを口にした私の率直な感想は、“美味しい”、ただそれだけだった。


いやむしろ、そうとしか言いようがなくて。


トマトの酸味とクリームの甘味がマッチする、程良いバランスのソースに、柔らかくて優しい味のするパスタが、最高に相性が良くて。


母親以外の料理を食べて、こんなに美味しいと思ったものはなかった。


無表情でしか伝えられないけど、きっと奏には、私が本気で美味しいと思っていることが伝わったはず。