笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



「ん?」


その背中は、私のためにコーヒーを入れてくれている背中で。


いつもと変わらない制服姿のはずなのに、ここで見るだけで特別感が増すように感じる。


奏の隣に立って、キッチンのシンクにぴったりと太腿をくっつける。


2人で会うときはいつも、ほぼ座っていたから、こうやって隣に立つと、改めて奏の背の高さを実感することができて。


横目で奏を見上げれば、真剣にコーヒーをいれてくれているその表情が目に映る――


とても、愛しかった。


あ、私。


――今、好きな人の家で、2人きりなんだ。


「何か、ドキドキする」