秋に近づいてきたからか、外はちょうど良いくらいに涼しくて、制服のシャツの上に着たカーディガンを優しい風が通り抜けていく。 「ここ、ボロいけど許してな」 奏の家に、到着した。 奏が笑って指差したのは小さなマンションだった。 私はそのマンションを見上げてから、首を横に振る。 「ううん」 奏の家までは学校から歩いて10分ほどだったから、歩いてきた距離はすごく短かったはず。 でも奏とこうやって学校の外を歩いたのは初めてで、それがとても短い距離だとは思えなかった。