笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



――言ったから、伝わった。


「ありがとう、お母さん」


あまりの感動を受けた私、震えた唇じゃ、その一言しか言えなかった。


母親はそんな私に、笑って頷く。


そして、もう一度口を開く。


「ひとつ言うけど、勉強ができることしか取り柄がないなんて、それだからあなたを嫌うだなんて、お母さんもお父さんも考えたこともないわよ」


徐々に、母親の手が、ゆっくりと私に近づいてきて。


そのまま、私の頭を――そっと撫でた。


「あなたが生まれてきてくれたことだけで、幸せなんだから」