笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



唇が、震えた。


このまま話を続けていいのか、怖くなった。


今ならまだ、後戻り出来ると思った。


今ならまだ、取り返しがつくと思った。


だけど、決めたから。


やめなかった、続けた。


「勉強をしていれば、いい成績を残していれば、お父さんやお母さんに嫌われないって思って、やりたくないことを、やってたの」


母親の目を見つめたまま。


震えたままの唇で、言葉を、繋いだ。


「本当はりぃみたいに、サボってみたかったし、遊んでみたかった、でも私は…暗い人間だから、勉強ができる以外に取り柄がなかったから、それを失うのが怖かった、そしたらいつの間にか、好きなことをする勇気が、なくなっていた」


母親の表情は、変わらなかった。


苦しくて、でも、逃げなかった。