唇が、震えた。
このまま話を続けていいのか、怖くなった。
今ならまだ、後戻り出来ると思った。
今ならまだ、取り返しがつくと思った。
だけど、決めたから。
やめなかった、続けた。
「勉強をしていれば、いい成績を残していれば、お父さんやお母さんに嫌われないって思って、やりたくないことを、やってたの」
母親の目を見つめたまま。
震えたままの唇で、言葉を、繋いだ。
「本当はりぃみたいに、サボってみたかったし、遊んでみたかった、でも私は…暗い人間だから、勉強ができる以外に取り柄がなかったから、それを失うのが怖かった、そしたらいつの間にか、好きなことをする勇気が、なくなっていた」
母親の表情は、変わらなかった。
苦しくて、でも、逃げなかった。

