笑顔を持たない少女と涙を持たない少年





そのまま彩菜が卒業して、もちろん学校で顔を合わすことはなくなったし、学校外で会うこともなかった。


彩菜が残していったのは、涙と、笑顔。


そして2人で過ごしていた“彩菜の部屋”だった。


「すげぇ、広い」


その日は彩菜が卒業してから、はじめて一人で部屋に入った日だった。


「結局、なんの木だったんだ」


俺は一人ただ芝生に座って、木を見上げながらそう呟いた。


俺たちが2人で過ごした1年間の間に、この木も少し大きくなった気がする。