笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



でも、泣いていた。


潤んだ瞳から、涙が彩菜の頬を伝う。


「彩菜」


自分の感情なんて分からずに、ただ名前を呼んだ。


本当に楽しいときも、本当に嬉しいときもあった。


プラスな感情をたくさん感じて、彩菜と笑い合った。


だけど。


彩菜が泣いているときに、その気持ちに寄り添えなかった。