笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



――私たちは、幸せだった。


でも。


そこは、私だけが笑えない空間でもあった。


もちろん両親、そしてりぃが私が笑えないということを誰よりも理解してくれていることを知っているし、そんな私がいつか笑えるようにと明るい空間を作り出してくれていることも知っている。


だけど、私は笑えなかった。


その優しさが、時には私を傷つけることもあった。


楽しいし、嬉しかった。


母親が作ってくれる料理だって、美味しいと思っていた。


笑うことができたら、どんなに幸せだろうと思った。


笑うことができたら、きっともっと幸せになれるだろうと、思っていた。