笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



「奏は特別だよ、私はいつもここにいるから、会いに来て」


紅茶の香りが混じる、不思議なこの空間で。


俺は彩菜にお願いされて、その日から毎日その部屋に通うことになったのだった。


はじめは違和感でしかなかったその空間も、彩菜と同じ時間を過ごすことで心地良い空間へと変化した。


でも彩菜の言う通り、本当に誰もこのドアを開けることはなかったし、もちろんここに入ってくることはなかった。


そこだけはずっと不思議だったけど。


俺は何も聞かず、何も聞けず、ただ彩菜と甘い時間を過ごしていた。