笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



だけど彩菜は、俺のそんな言葉に全く応えない。


「ここのドアは先生も友達も、誰も開けられないの」


その笑顔は、嬉しそうで、いたずらっぽくて。


とにかく彩菜が満足げな表情をしていたから、俺は笑顔で聞いていたし、それ以上問い詰めなかったけど。


でも、正直俺にはその意味がよく分からなかった。


“先生も友達も、誰も開けられないの”。


じゃあ何故、俺は開けることができたのだろう?


ここの部屋の存在も、彩菜がこうしていることも、誰もそのことを知らないということなのだろうか?