笑顔を持たない少女と涙を持たない少年



そして、床であるはずの床が床ではなく、芝生だった。


全ての光景にただ圧倒されて、俺は軽く言葉を失った。


「…すごいでしょ、ここ」


そんな俺に気がついた彩菜は、楽しそうに笑う。


「何ここ…本当に学校の中かよ?」


俺は笑って、彩菜に言葉を返す。


ドアのすぐそばで立ち止まったまま、その空間に足を踏み入れるのさえ忘れていた俺の背中を、彩菜は無理やり押した。


「まぁ入って入って」